小説 【父ちゃんが遺してくれた聖書】 第1話 無人島で育った野生児と社会で養殖された猛獣

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ここは無人島…🏝

オレの名前は『ムジント』。

年齢は10歳だ。

物心ついた時に、すでに父ちゃんと二人でここで暮らしていた。

だが… その父ちゃんは、3年ほど前に亡くなってしまった…

でも、父ちゃんが生きるためのすべをたくさん教えてくれたお蔭で、オレは何も困っていない。

📘

これは父ちゃんの教えが余すことなく詰め込まれた、オレだけの聖書だ。

父ちゃんが息を引き取る直前に手渡されたのがこの本だ。

困った時や、迷った時には、これを見ろと言っていた。

ここには生きるために必要な実質的なことだけでなく、精神的な教えまでもがたくさん書かれてある。

そして、なぜか人間との接し方や対処策まで書いてあった。

なぜだろう…

ここは無人島なのに…

きっと、今のオレには分からないことまで書き溜めておいてくれたのかも知れないな…

多分、ありとあらゆる可能性を想定して書いてあるのだろう。

そして、続きはお前自身でさらに加筆していってほしいとも言っていた。

ありがとう… 父ちゃん…

自分が死んでからもオレが困らないようにいろいろ書き溜めておいてくれたんだね… ( o̴̶̷̤̤̮ωo̴̶̷̤̤̮ )クスン




ムジント「さあ、今日もメシの調達に行ってくるか〜♪」

⛴〜

ん?! 何だアレは!

ムジントが海に目をやると、一艘の舟が見えた。

こちらにグングン近寄って来る。







上陸すると、中から一人の男が降りてきた。

男「これこれ、君は何だね? ここは無人島のはずだ。 なぜ子供が一人でいるのだ?」

ムジント「アンタこそ何だよ。 ここはオレの島だ」

男「私は海洋巡視船のものだ。 近くを通る漁船から、無人島に子供がいると通報があったので、こうしてやって来たわけだ」

ムジント「………」

男「親はどうしたのかね?」

ムジント「3年前に死んだ…」

男「ということは、君一人で暮しているのか?!」

ムジント「ああ…」

男「これはそのままにしておくわけにはいかない! 連れて帰って警察に保護してもらおう」

ムジント「ん???」

男「私と一緒に来たまえ」

ムジント「イヤだね!」

男「このままにしておくわけにはいかんのだ! いいから来たまえ!」

男は、ムジントの手を掴んだ。

ムジント「イヤだと言ってるだろ!」

男「仕方ない。 無理やりにでも船に乗せて連れ帰るしかない」

ムジント「やめろ! (((ヽ(o`д´o*)ノシ)))ジタバタ」

男「なんだコイツ! 子供のくせに、やたら力が強いぞ!」

父ちゃんの聖書

「世の中には話の通じないヤツも少なくない。 

お前に危害を加えたり、納得いかないことを強要する輩もいる。

その場合、正当防衛的に力を解禁してよい。

ただし必要最小限だ。 

なるべく素早く短く相手を苦しめずに片付けるのだ」



よし! 父ちゃんの教え通りに力を解禁しよう。

(っ・д・)三⊃)゚3゚)'∴:.グハッ

コテン (:3 っ )3

ムジント「よわっ…」

でも父ちゃんの教え通りに短く素早く終わらせることが出来た。

ムジント「これでいいんだろ? 父ちゃん…」




だが… 後日大勢の男がやって来て、ムジントは無理やり船に乗せられて本土に連行されてしまった。

ムジント「クソ! 島へ返せ!!! 父ちゃんとの思い出がたくさん詰まったあの島へ返せ!!!」

そして警察に保護された後、施設に預けれられ、小学校に通うことになってしまった。

だが… 大人は誰一人として、ムジントの声を聞くことは無かった…

父ちゃんの聖書

「人間の中には、自分たちが勝手に決めたルールに強制的に従わせ、拒否すると罰を与える横暴な輩がいる。 

思考と行動の全てが一方的なのだ。

この類いの人種には何を言っても無駄だから、充分に注意せよ」



ムジント「父ちゃんの言う通りだね… 誰もオレの話なんて聞きやしない… (๑o̴̶̷᷄ _ o̴̶̷̥᷅๑)クスン」







学校🏫

先生「今日からこのクラスに入ることになったムジント君だ。 みんな仲良くしてくれ」

ムジント「よろしく…ボソッ」







休み時間…

悪ガキ3人組「オイ! お前! 孤児院暮らしなんだって?」

ムジント「ああ…」

悪ガキ3人組「捨て子か?」

ムジント「違う… 死んだ」

悪ガキ3人組「親がいないことに変わりないじゃないか! やーい! 親なし!」

ムジント「オレに親がいないことが、お前らに何の関係があるのだ」

悪ガキ3人組「なんだと! 新入りのクセに生意気だ!」

ムジント「親がいないことで、お前らに何か迷惑を掛けたか? 何かの損害を与えたか? いったいどんな実害があるというのだ?」

悪ガキ3人組「うるさい! やっちまうぞ!」

3人はムジントに殴りかかってきた。







バキッ ボキッ ガン!

だが、倒れたのは3人組の方だった。

ムジント「父ちゃん… これも正当防衛だよな?」

そういえば… 

父ちゃんは、よく言っていた…

本土には猛獣がウヨウヨいると…

善人ほど苦しめられるヒドイ世界だと…

父ちゃんがどんなに愛や平和を伝えても、猛獣たちは聞く耳を持たなかったと…

それで精も根も尽き果てて、無人島に移住したと言っていた…

ムジント「オレ… 父ちゃんの気持ちが少し分かった気がする…」




翌日…  

悪ガキ3人組「昨日は悪かったな… もうイジメないから仲良くしようぜ」

ムジント「………」

悪ガキ3人組「お前強いよな! 俺たちの仲間になってくれよ」

ムジント「断る…」

悪ガキ3人組「なんでだよ?」

ムジント「父ちゃんの聖書に書いてあったんだ」

父ちゃんの聖書

「人の見方その1

強い者に対する態度と、弱い者に対する態度をよく見ること。

この差が少ないほど善人。

多いほど卑怯者」



ムジント「もしも… 昨日オレが負けていたら、どうするつもりだったのだ? 今日もイジメていたのではないか? 明日もあさっても、その後もずっと」

悪ガキ3人組「いや、その… ( ̄∇ ̄;)アセアセ」

ムジント「強い相手と、弱い相手で態度をガラリと変えるヤツなど信用出来ん。 もしもオレより強いヤツが現れたら、そっちへ乗り換えるはずだからだ」

悪ガキ3人組「(=◇=;) ギクッ」

どうやら図星だったようだ。

つまり、コイツらはオレを利用しようてしてるだけなのだ。

断るのは当たり前のことだ。

なあ? 父ちゃん…

オレは間違ってないよな…

ムジント「じゃあな…」

悪ガキ「オイ 待てよ」

ムジント「まだ何か用か」

悪ガキ「そんな態度とっていいのかよ。 俺の兄貴は中学で番はってんだぞ! 兄貴に言っちゃうからな!」

父ちゃんの聖書

「人の見方その2

猛獣人間の中には、自分の思い通りにならないと、脅したり危害を加えてくる輩がいる。

根が幼稚で甘ったれなのだ。

もちろんマトモな話など通じるわけが無い。

充分に注意せよ」



ムジント「なるほど〜 しかし父ちゃんの聖書はスゴイなぁ。 ありとあらゆる場面を想定して書いてある」

それだけ、たくさんの苦労をしてきたのだろう…

ムジント「オレの返事はノーだ。 どんな目に遭おうと、お前らの仲間になるつもりなど無い!」

悪ガキ3人組「クソ! 覚えてろよ!!!」




授業中…

ムジント「(・-・)ボケー 退屈だ…」

先生「君! 教科書を開きたまえ!」

ムジント「教科書? ああ、たしか孤児院の寮母さんから持たされたな」





📖 パラリ

ムジント「はい。 開きました。 これで気は済みましたか」

先生「なんだその口のきき方は?! 私をバカにしてるのか!💢」

言われた通りにしたのに、なぜ怒るのだ…

ウゼェ… ウゼェ… ウゼェ…

猛獣たちよ…

いちいち絡んでくるなよ…

頼むから、オレのことは放っておいてくれ…

オレの方から手を出すことは無い。

だから猛獣たちも、オレに構うなよ…

そうすれば、お互い平和でいられるだろう。




昼休み…

ムジントは給食を早めにたいらげ、屋上でゴロリと横になった。

( ´ᐞ`)=3 フゥ…

疲れた…

猛獣の中で生きるのは、こんなにも疲れるものなのか…

何かを押し付け、断ってもキレるし、従ってもキレる…

ガウガウ吠えてばかりいやがる…

まさに猛獣だ…

だが… 傑作なのは、力だけは人間並みなのだ…

弱すぎて笑える ((´∀`*))ケラケラ




つづく。



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