小説 【父ちゃんが遺してくれた聖書】 第3話 教師という名の調教師

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あの一件以来、良子とは毎日一緒に登下校をするほど仲良くなった。

一緒に困難を乗り越えたことで、絆が生まれたのだ。

今では心が繋がった一番の友となっていた。

ムジント「さあ帰ろう」

良子「うん」

先生「ムジント君。 ちょっと職員室に来たまえ」

ムジント「………」

また干渉かよ…

今度は何だってんだ…

どうして放っておくことが出来ないのかなぁ…

ムジント「良子すまない… 今日は先に帰ってくれ。 オレは呼び出しを受けたから」

良子「あら… そう…」

ムジント「しかし… 一番シカトしてほしいのは先生たちだよな…w」

良子「ホントホント…w」







職員室…

ムジント「失礼しま〜す…」

先生「おお、来たか。 君の学力テストの結果なのだが、5教科の合計が0点に近い」

ムジント「アハハꉂꉂ(ᵔᗜᵔ)」

先生「笑うところじゃないだろ! 授業についていけてないようだな。 まあ最近まで無人島で暮していたから無理も無いことだが」

ムジント「ついていく気なんて無いので、全然構いません。 ドンドン先へ行って下さい。 ドンドン置いてって下さい。 オレは自分の道を独り行くだけだから」

先生「マジメに聞きなさい!」

ムジント「大マジメです。 オレはいつか島へ戻るので、学歴なんて要らないのです。 だいたい、あんなものを勉強だと思ってないし」

先生「なんだと?」

ムジント「だって学校の勉強をしたって、その程度の大人にしかなれないんでしょ?」

先生「その程度?!」

ムジント「自分の受け持ちのクラスでイジメが起きても気付かない愚鈍な熟睡者のあなたのように…w」

先生「イジメだと?! お前は何を言ってるんだ! ウチのクラスでイジメなど起きてない!」

ムジント「ほら… 気付いてすらいない… 良子がメールしたはずです。 靴を隠された件でね。 あれがその内の1つ」

先生「良子はイジメとは言ってなかったぞ!」

ムジント「イジメと言わないとイジメだと気付かないほど、あなたは愚鈍だということです」

先生「この野郎! いい加減にしろ!!!💢」

ムジント「ほら、すぐキレる… 学校の勉強をしても、セルフコントロールも出来ない未熟者にしかなれないということの証明だろ」

「子供は感情でしか大人を支配出来ない。 

大人になってからも感情を使って人を動かそうとするのは幼稚である」アドラー心理学



先生「このバカモン!!!」

ムジント「じゃあな。 二度とオレに干渉するな。 分かったか? オレはあなたを尊敬してないし、師だとも思っていない」

🚪バタン…




ムジント「あ、待っててくれたのか」

良子「うん… で、どうだった?」

ムジント「自分のチッポケさと、大人げなさを晒してた…w」

良子「先生を怒らせるようなことを言ったんでしょ?」

ムジント「うん… 二度と干渉してこないようにするためにスバリ本当のことを言ってきた」

父ちゃんの聖書

「人は自分より強い相手や、

頭が良い相手には絡んでいかないものだ。

だから過干渉の人に対する最大の防御策は、自分自身の向上なのだ」



ムジント「父ちゃんの聖書には、こう書いてあったけど、まだ10歳のオレには難しいよな… だからわざと怒らせて嫌われるように仕向けるしかなかったんだ。 嫌いな相手には寄って来ないだろうから」

良子「そうだったの… 一応は作戦通りだったのね」

だが… この作戦は裏目に出ることになってしまった…




孤児院…

ムジント「ただいま」

寮母「おかえり。 先生から電話があったの」

ムジント「さっきの事かな… で、何て言ってた?」

寮母「ムジントには精神疾患の疑いがあるから、精神科で診てもらうようにって… そして改善が見られない場合、措置入院させた方がいいと…」

ムジント「そうか… やはり自分自身を省みず、オレが悪いことにしてしまうようだな… ますます自分のチッポケさを晒してやがる…」

父ちゃんの聖書

「教師と調教師は違う。

調教師にとっては、言いなりになる子が良い子(都合が)

自分の意思を持ち、自分で考え、自分の意見を語り、自分軸で行動する子は悪い子(都合が)

調教師にとっては、自分の思い通りに動かない子は全て失格なのだ。

なぜなら目的はコントロールだからだ。  

だが、これは断じて教育ではない。

権威に従う操り人形を生産してるだけだからだ。

真の教師とは、独りでも強く生きていけるように自己を確立させ、自立自律に導く者のことを言う。 

なぜなら、それこそが責任のある教育だからだ。 

つまり教師と調教師は、完全に真逆なのだ」



ムジント「そうか! 措置入院とやらで薬漬けにして、オレを従順な操り人形にしようという魂胆か!」

狙いは分かった…

それならもう… 学校に行くのはやめよう…

寮母「先生に言われた通り、精神科へ行ってみる?」

ムジント「行くわけないだろ!」

寮母「だって先生が言うんだから」

ムジント「誰が言おうとも間違ってることは間違っている!」

寮母「だって先生が…」

このオバさんも権威主義者か…

自分の頭で考えず、権威を盲信盲従するだけ…

もう… ここにもいられないな…

ムジントは孤児院を出る決意を固めた。




作者より。

マトモな人間ほど、ドンドン居場所を奪われるものです。

社会自体がマトモではないのだから…

狂った権威に眠ったヒツジが飼われているこの社会に、マトモな者の居場所なんてあるはずがないのです。

でもせめて子供の居場所くらいは作ってあげたいものですね。

大人になるまでの間、安心して暮らせる場所を。

つづく。
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